城南コベッツ江戸川台教室

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2023.05.11

429日に映画「スーパーマリオ」が封切られました。マリオは日本の企業「任天堂」が生み出したキャラクターで、言わずと知れた日本ゲームのアイコンと呼べる存在です。もう40年以上前に生み出されたキャラクターですが、この映画「スーパーマリオ」は、世界興行収入10億ドルを突破し、世界的な成功を収めています。

「マリオ」のような、日本の生んだコンテンツや文化などを世界に広める「クールジャパン戦略」という、日本政府の施策があります。おそらくこの施策を聞いたことがある方は、同時にこの「クールジャパン」が、あまり上手くいっていないことを連想するのではないかと思います。実際、googleに「クールジャパン」と入力したときに表示される予測変換の一覧には「クールジャパン 失敗」と出てきます。映画「スーパーマリオ」が大成功しているにもかかわらず、です。

内閣府公認のクールジャパン・アンバサダー(202210月にクールジャパン・プロデューサーに名称変更)で、「日本はクール!? 間違いだらけの日本の魅力発信」の著者、ベンジャミン・ボアズ氏は、今までのクールジャパン戦略によるコンテンツや文化の売り込み方を「もったいない!」と断じます。

人生のほとんどを日本で過ごしていれば、海外の方の描く日本像の「正しくない」ところには敏感に気づくことができます。相手が「日本が好き」なのにも関わらず、「FUJIYAMAGEISYA」的な日本のイメージを持っていれば、「正してあげよう」という気にもなるのも、むべなるかな、というところです。

また、我々日本人は、「他の人にも人気があるか」ということを非常に気にします。日本におけるマーケティングでは非常に重要です。「みんな持ってる」と、持っていないことが不安になって自分も買ってしまう、なんて経験を持つ方もいるかもしれません。当然、日本のモノをオススメするのにも「大人気」という修飾語を当然のようにつけてしまうと思います。

しかし、ボアズ氏は、「海外の消費者は、「 正しい」 楽しみ方とか、 他の人が何を欲しがっているかといったことは、気に留めません。」(ベンジャミン・ボアズ. 日本はクール!? (Kindle の位置No.233-234). 株式会社クロスメディア・パブリッシング. Kindle . )と、綴っています。その認識のずれが、クールジャパン戦略がうまくいっていない一因である、と。

ボアズ氏も、もちろんただ警鐘を鳴らして終わり、ということはありません。しっかり「では、どうすればよいか?」も書いてくれています。「外国人に知識を押し付けるのではなく、彼らの視点を理解し、そこに橋を架けることが効果的だということです。」(ベンジャミン・ボアズ. 日本はクール!? (Kindle の位置No.1069-1070). 株式会社クロスメディア・パブリッシング. Kindle . )というものです。

中学の社会科では、「世界のグローバル化」を学びます。そこでは他文化の理解や共生が大切である、と教えるワケですが、なんのことはない、政府の施策であるクールジャパンには、その視点が欠けていた。ということです。

一方で、売り込み方がよろしくなくとも、マリオのように、世界中で人気を博するコンテンツを生み出すことができる力が、日本にあるわけです。(今回の映画スーパーマリオは、米イルミネーションが製作していますが)いっそ、クールジャパンの失敗を教科書に載せて、改めてグローバルなもの考え方とはどういうことか? いかに大事なのか? を学ばせることが効果的かもしれません。

生徒の皆さんも、「日本を愛する外国の方」と友達になったときには、その方の語る「間違い日本」を正すのではなく、相手の立場で考えてあげてください。

2023.04.08

毎回、なんとなく書き出しをスタッフで話し合って出しているのですが、今回は「那須川天心」で行こう、ということになりました。

那須川天心選手は松戸市出身。とある教室には松戸市からの生徒さんもおり、身近な地域ということもあり地元のヒーロー的なイメージを持つキックボクサーでした。

そんな彼が、ボクシング転向を電撃的に表明したのが一昨年前、2021年の今頃でした。そして来る48日、彼のプロボクシング初試合が行われます。

当然、当人たちは試合の日を待ち望んでいるワケなのですが、生徒さん、保護者の方には、「他人様が殴り合う様子の何が面白いだろう?」とお思いの方もいらっしゃると思います。

「他人様が殴り合う様子を面白がる」というのは、実は古代ローマには、すでに娯楽として成り立っていました。もっとも、正確には、「他人様が殺し合う様子を面白がる」という物騒極まりないものでした。

象徴的かつ最も有名なのが、ローマのコロッセオです。紀元80年に完成したといわれ、そこから100日で、数百人の剣闘士が命を散らしたといわれているそうです。

その中に、奴隷同士が鉄鋲付きの拳にグローブを着けて殴り合うという種目があったようです。

さらに起源を辿ると、古代ギリシアのオリンピックで、23回大会から正式種目となったようで、オノマストスさんという方が、月桂樹の冠を授かった(つまり優勝した)という記録があるそうです。

その後ボクシングは一旦、西ローマ帝国の滅亡と共に消え去りますが、名誉革命直後のイギリスで、近代ボクシングが始まり、いくつかの試合中の死亡事故などを経て、徐々に安全に配慮したルールが定められ、スポーツとしてのボクシングへと至るのです。

暴力衝動に任せて他人を害する行為は、社会生活を営む上で絶対にあってはなりません。

しかし、ヒトもまた、「他を喰らって生きる」という動物であり、個人差はあれ、暴力や血に対する衝動はあるのだということから目を背けてはならないと思います。

暴力の代替行為(ボクシング鑑賞など)がキリスト教によって否定された中世、果たして人々は平和に暮らせていたでしょうか? 延々と続く戦や、魔女狩りなど、少し思いを巡らせても、そうではなかったと思います。

まあ、結論をいうのであれば、ボクシングの試合を楽しみにしている人たちは、それを鑑賞して本能からくる渇望の溜飲を下げているのであり、それゆえ社会の一員として理性的に振舞えているんだ。と、生温かい目でみてくれればいいな、ということです。

2023.01.26

本年度の共通テストが終了しました。現実社会がベースとなっているような共通テストらしい問題も、去年と同じように出題されつつ、知識を求められる問題や、じっくり考えていては到底時間が足りなくなるような問題量もそのままという、昨年とあまり変わらない問題構成だったように感じます。

 受験された皆さん、まずはお疲れ様でした。そして、2次試験合格へ向けて、仕切り直して最後の追い込みです。我々スタッフも最後まで付き合いますので、ゴールまで走り抜けましょう!

 さて、今回のテーマは「共通テストの遊び」についてです。

 なにやら大学合格を左右するテストと、遊びという単語は相容れないような気がします。

実際、受験した生徒さんも。緊張でいっぱいでとても「遊び」なんて感覚ではなかったと思います。

 この「遊び」。これは、共通テスト問題作成者が仕込むちょっとしたネタ要素を指しています。

 今回のテストでいえば、例えば「地理A」の第4問。「環境問題の解決はなぜ難しいのか」を授業で話し合うというような問題でした。各班の代表者は「チハルさん」「ゲンタさん」「シズヤさん」「ノエルさん」の4つでした。このうち、「ゲンタ」「シズヤ」「ノエル」というのが、「travis Japan(トラヴィスジャパン)」というアイドルグループのメンバーと一致していました。

 ジャニーズの当該グループのファンなどが、SNS等で盛り上がったそうです。

 こういったちょっとしたネタのようなことは、毎年なにかしらの教科で見つかり、ネットなどでもそれなりに話題になります。今までの猛勉強の集大成ともいえる試験なので、緊張して臨むことは決して間違いではないのですが、緊張した只中でも、もういったネタにクスっとできる余裕があると、より高いパフォーマンスが発揮できるんじゃないかな、と考える次第です。

 脳と手を全開でフル稼働させる試験に、小さなオアシスのように仕込まれた「遊び」。楽しめなくとも、気づくゆとりがあると、いいですね。

2023.01.06

令和5年の幕が開けました。

あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願い致します。

まずは新年のご挨拶から入った今回ですが、共通テストが目前ですね。受験生のみなさんも、追い込みに必死な時期です。我々講師陣も、全員が志望校に合格できるよう、指導を行ってまいります。

 さて、今回が三度目となる共通テストですが、今年も去年とそれほど変わらず、知識を問う問題が約半分、もう半分が思考力、応用力を試す問題が出題される見込みです。

 この「思考力」「応用力」って、どういう力を指すのでしょうか?

もちろん、実際に受験問題に触れている生徒さんは体感としてなんとなくわかっているとは思います。しかし、小・中学生のみなさんや、保護者の方は、なかなかピンと来ない方もいらっしゃるかもしれません。

元々、学習指導要領に「思考力・判断力・表現力等」という言葉が頻出し、それらを問う問題の比率を増やしていこうというのが、センター試験から、共通テストに移行した要因のひとつでもあります。また、その際の指導要領には、『「生きる力」という理念』というワードも登場します。

生きる力。すなわち生活していくのに必要なこと。ただ知っていること(知識)を、日々の生活に活かしていくこと。これが応用力だと思います。

 ――と、言っても、やはりピンとこない方が多いのではないでしょうか? 現代の日本では、それほどに知識と、実生活との間には溝がある状態になってしまっています。なので、知識を活かす、と言っても、どの知識を実生活のどこで活かせばいいのかわからなくなってしまうのです。さらに、教育する側が、知識ばかりを教えることに夢中になるあまり、このような「応用力」を伸ばすような教え方をしてこなかったからでもあります。

 では、どうすれば「応用力」がつくのか。「応用力」は、いわば実生活の問題に、「知識」から考えを発展させて答えを出すことです。

そして、実生活の問いの答え――とまではいかなくとも、「知識」から、考えを発展させるのに必要な力があります。これが「思考力」です。

 「思考力」を伸ばすことは「応用力」をつけるより簡単で、かつなにか「知識」を得るたびに、どんな小さな子でも伸ばすチャンスがあります。

 「知識」を学んだときに、頭の中でこう続ければいいのです。「なぜ?」。これが、思考力をつける第一歩です。

子育て中、もしくは経験済の親御さんであれば思い出されたかもしれません。子供には、成長段階として、「なぜなぜ期」があることを。実は、この「なぜなぜ期」こそ、「思考」のはじまりなのです。この時期に、適当にあしらわれたり、「なぜ?」を拒否されたりすると、思考力は伸びていきづらいです。一緒に考えたり、わかりやすく答えを聞いたりして、ポジティブな体験をすることで、「思考力」は伸びていきます。

 しかし、幼少期にせっかく「思考力」が萌芽しても、現行の学校教育では、教えられたことに対する「なぜ?」は授業を妨げるとみなされ、あしらわれてしまうことがほとんどです。また、学校教育では正解か不正解かを判定されるだけであり、「なぜこうなるんだろう?」というような答えのない問いは深堀されることはありません。

これが、日本人の思考力が低下していると言われている所以(ゆえん)です。ところが、その軽視されているはずの「思考力」が大学入試で突如として必要とされるようになりました。ご家庭でも、お子さんの「なぜ?」を大切になさってください。学校に入ってめっきり「なぜ?」を発しなくなったお子さんを持つ親御さん、また、お子さんの「なぜ?」に上手い回答ができる自信のない親御さんはぜひ我々城南コベッツをお訪ねください。知識と思考力、応用力を伸ばすカリキュラムをご用意して、お待ちしています。

 

2022.12.07

日本時間12/6  000 サッカーW杯カタール大会の決勝トーナメント1回戦、日本対クロアチアの試合が行われました。

 結果は11だったものの、PK戦の末、惜敗。日本の史上初トップ8進出は、残念ながらなりませんでした。

 日本時間では真夜中に行われたこの試合、夜が更けるまで試合を観ていた方も多かったのではないでしょうか?

 4年に1回、W杯で盛り上がるのは世界どこでも共通といっていいかもしれません。2022年現在、FIFA加盟国、地域は211IOC(国際オリンピック委員会)の206を上回るのです。

 と、学習塾のプログでスポーツの話をするのも楽しいのですが、世界中のスポーツの祭典は、世界のことを学ぶ機会と捉えると、また違った興味深さが見えてきます。

 例えば、日本の対戦相手となったクロアチアが、1991年から1995年まで、激しい紛争状態にあったことはご存知でしょうか?

 保護者の方々にはニュース映像の記憶がある方も多いでしょうが、生徒の皆さんは、初耳の方もいらっしゃるかもしれません。

 エースのモドリッチは、前回、2018W杯で、クロアチアを準優勝に導き、その年のFIFA最優秀選手賞を獲得した卓越した選手です。

 彼が6歳のときに、生まれ故郷は戦場となりました。難民となってしまったモドリッチは、仮住まいのホテルの駐車場で、サッカーに熱中したそうです。

 モドリッチは18歳でプロ契約を結んだことで、その資金で故郷にアパートを購入し、一家の難民生活は終わりを迎えるのです。

 世界には、日本では考えづらいような、しかし現実に起こっているさまざまな事柄があります。W杯は、日本代表を懸命に応援するのも楽しいですが、少し対戦相手のことも興味を持ってみると、学ぶ機会にあふれたイベントである、とも考えてみることもできるのはないでしょうか。