城南コベッツ初石教室

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初石教室のメッセージ

防災の日

2024.09.04

 8月末から9月初めにかけて、巨大台風10号が日本列島に上陸しました。関東地方は直撃を免れましたが、直撃した地方や、台風の影響で雨雲が発達した地域など、広範囲で被害が生じました。台風直撃の只中にあった9/1は、奇しくも「防災の日」と定められています。

 9/1がなぜ防災の日と定められたのか。それは、1923年。今から101年前の9/1、日本を未曽有の大災害が襲ったことに由来します。

 19239/1に起こった大災害――関東大震災です。

大正12911158分、相模湾北西部を震源とする大地震が発生しました。推定マグニチュードは7.9であったそうです。

 この大地震により、埼玉、千葉、東京、神奈川、山梨で震度6を観測したほか、北海道南部から中国四国にかけて広範囲で揺れの観測があったそうです。

 大正当時は、建築物はおもに木造でした。しかも、都市部などでは、密集するように家が立ち並んでしました。1158分といえば各家庭で昼食の準備をしている頃、つまり多くの家で火を使っていました。

 関東大震災は、その巨大なエネルギーによる地震で10万戸以上が倒壊してしまったそうです。さらに、上記の理由により多くの火災が発生し、大規模な延焼火災へと広がってしまいます。

 この地震により、死者、行方不明者は10万人を超えたそうです。東日本大震災が約18000人ですから、いかに被害が甚大だったかがわかります。

 この大地震を忘れずに、教訓として生かすために、国は関東大震災の起こった9/1を、「防災の日」と定めて、防災に対する啓蒙を行っています。

 と、「防災の日」と「関東大震災」について書いてきたワケですが、じつは今回のテーマはここからです。

 それは、「災害とデマ」について。なのです。

関東大震災の起こった大正時代、もちろん今のようにスマホも、SNSも存在しませんでした。ところが、根拠のないデマはしっかり流布されてしまっていました。震災直後から、「このあと富士山が大噴火する」というデマが広がっていたそうです。

 そして、「朝鮮人が井戸の水に毒を入れた」という根拠のないデマは、それを安易に信じてしまった民衆や、軍、警察によって、朝鮮出身者が殺害されてしまったのです。報告書によると、殺害された人数は1000人を超えるとされています。

 100年経った今でも、災害のたびに根拠のないデマが流されます。しかも、SNSによって、デマはあっという間に広がってしまいます。

 2016年の熊本地震では、「自身のせいで近くの動物園からライオンが放たれた」などというデマが流れました。丁寧に画像まで添付してあったのですが、実施には道路をライオンが闊歩しているその画像は海外のものでした。この情報を流した人物は、動物園の業務を妨害したとして、逮捕に至りました。

 2022年の台風15号の際には、静岡県内の水害の様子だとする画像がSNSで広まりましたが、実際は生成AIによる偽画像だった。ということもありました。

 なぜ、災害の度にこのようなことが起こるのか。

 人間は、わからないものに対して、大きな恐怖を抱きます。ましてや、大きな災害で、実害が出ているとなれば、恐怖もひとしおでしょう。そのような時、人間は互いにコミュニケーションをとって、"わからない"を解消しようと動きます。そしてすぐにでも"わからない"を減らそうとする。大きな恐怖を抱えた多大なストレス下で、少しでも恐怖を和らげようとする。その心の動きが普段なら到底信じるはずもない荒唐無稽な情報に飛びついてしまう。さらに、他人の恐怖を和らげてあげようという優しさ、その荒唐無稽な情報を拡散してしまう。これが、「災害時のデマ」が広がってしまう理由だと思います。

 世の中には、「承認欲求」という欲求を強く持つ人がいます。しかも、今では多くの人の承認を得られた人は、広告収益など、実利を得られるシステムも導入されています。承認欲求を満たすことで経済的価値も獲得できるような世の中になりました。

 SNSでは、いいねの数やシェアの数を稼ごうと、様々な努力を重ねている人々がいます。そのような努力によって承認欲求を満たし、情報の発信元となれる人をインフルエンサーと呼びます。正当な手段によってインフルエンサーとなることは、なんら悪いことではありません。しかし、デマのような荒唐無稽な情報の流布、拡散でも、インフルエンサーが得られるような承認欲求の充足をおぼえることはできてしまうのです。

 これが、災害時のデマのメカニズムなのではないかと、筆者は考えています。

 生徒、保護者の皆様におかれましては、災害時の、情報を欲している時こそ、この文を少し思い出して情報が正しいのかどうかのファクトチェックというひと手間を、惜しまないようにお願いします。