来年度からスタートする高校の新学習指導要領に向けて、国立教育政策研究所は7月28日、「指導と評価の一体化」のための学習評価に関する参考資料の案をホームページで公表した。今回公表されたのは、新設教科の「理数」を除く共通教科と専門教科で、第1編「総説」と第2編「『内容のまとまりごとの評価規準』を作成する際の手順」までを掲載。第3編の実践事例を集めた「単元ごとの学習評価について(事例)」を含めた全体の公開は8月下旬を予定している。「理数」についても、年内の公表を目指している。
例えば、新たに「公共」が科目として新設された「公民」の「A 公共の扉」の内容に関する「思考力、判断力、表現力等」の評価規準例では「幸福、正義、公正などに着目して、倫理的価値の判断において、行為の結果である個人や社会全体の幸福を重視する考え方と、行為の動機となる公正などの義務を重視する考え方などを活用し、自らも他者も共に納得できる解決方法を見いだすことに向け、思考実験など概念的な枠組みを用いて考察する活動を通して、人間としての在り方生き方を多面的・多角的に考察し、表現している」などを挙げた。
また、PBLや探究型学習を強調するため、名称が変更された「総合的な探究の時間」では、評価の観点を「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」の資質・能力の三つの柱に基づいて各学校が定め、それらの観点について、生徒の顕著な学習内容を記述することとなった。これを踏まえ、「総合的な探究の時間」の資料では、「自然環境とそこに起きているグローバルな環境問題」を探究課題にした場合を例に、「知識及び技能」の観点では「調査活動を、目的や対象に応じた適切さで、正確かつ安定的に実施することができる」などを列挙した。
さらに、各学校で定めた全体の評価の観点に基づき、各活動、学校行事ごとに十分満足できる活動状況であれば「〇」を記入することになっている「特別活動」の資料では、評価の観点の設定例を挙げ、ホームルーム活動や生徒会活動、学校行事などでの評価規準を例示した。
<編集後記>
共通テストでは導入が見送られた「英語4技能」「記述式問題」ですが、今後も導入されないと決められたわけではありません。また、国公立大学の2次試験や私立大学の一般選抜のほか、学校推薦型選抜や総合型選抜では英語4技能のスコアや小論文を求める大学が増えています。入試改革に関係なく「時代が求める力」だということになります。
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(「教育新聞」2021年7月30日号掲載記事参考)