城南コベッツ八千代中央教室

Tel:047-481-7022

  • 〒276-0042 千葉県八千代市ゆりのき台5丁目17-1 1階
  • 東葉高速鉄道 八千代中央駅 徒歩5分

受付時間:16:00~20:00/日祝休

  • 1対1個別指導
  • 1対2個別指導
  • オンライン個別指導
  • 総合型・学校推薦型選抜対策
  • ジュニア個別指導
  • 英語検定試験対策
  • 定期テスト対策
  • 大学入試一般選抜対策
  • 高校入試対策
  • 中学受験対策

八千代中央教室のメッセージ

ウクライナ問題をどう教える?ある高校の政治経済の授業

2022.05.09

 開戦から1カ月を過ぎた今も、ロシア軍によるウクライナ侵攻は続き、緊迫したニュースは毎日大きく取り上げられている。国際社会に深刻な影響を及ぼしつつある両国の戦争をどのように教えればいいのか、教育現場では努力と模索を重ねている。公民科目が専門で国際経済の実務経験もあるフリーの非常勤講師、羽田(はだ)良之さんが、3月に東京都内の私立高校で行ったユニークな授業を取材した。
 都内にある中高一貫の私立女子高1年生の「政治・経済」の授業。約40人の生徒を前に、教室の大型スクリーンには、ロシアの通貨ルーブルと米国のドルの為替変動チャートが映し出された。ルーブル・ドルの関係を示す折れ線グラフは、ウクライナへの軍事侵攻が始まった2月24日を挟んで激しく上下動し、ルーブルはわずか数日で対ドル30%も急落した動きを示している。
 「これってドル高ですか、それともドル安ですか?」
 羽田さんは生徒たちに軽く問い掛けた。さっそく「ドル高・ルーブル安だと思います」との回答が返ってきたところで、次の質問に移る。
 「ロシアの通貨ルーブルが急落すると、ロシア国民の生活はどうなりますか?」
 どういう影響が出るか、みんなで考えてほしいとグループワークを持ち掛けた。生徒たちが今年に入って受けた戦後日本経済の授業で、日本が円安で輸入が盛んになった時期や、プラザ合意後の円高不況についてすでに学んでいる。生徒からはいくつかの回答が示された。「ルーブルが急落すると輸入が影響を受けそう」「輸入品の物価が上がりそう」「でもロシアって何を輸入しているんだろう?」――。羽田さんは「教科書に書かれた内容は一見、今起きていることと関係が薄く退屈に思えても、実は現実に起きている問題を考える際にとても役立つのだと気付いてもらいたかった」と話す。
 徐々に授業のレベルを上げていった。ロシア中央銀行は2月末、ルーブルの急落を受けて主要政策金利を20%に引き上げた。次はこのニュースを生徒たちに示し、「なぜロシア中銀は政策金利を2倍に引き上げたのか?」と問い掛けた。大人でも答えづらい難しい問題だが、生徒たちからは「金利を上げたということは、金融を引き締めたということ?」「インフレ抑制のため?でも通貨安がきっかけのインフレ懸念だよね......」という答えが返ってきた。羽田さんによると、正解は「暴落したルーブルの人気を高めてルーブルを買ってもらうようにしたい、というのがロシア中銀の意図」という。
 羽田さんは続けて、「政策金利が引き上げられると、ロシア国民の生活はどうなりますか?」と問うた。
 政策金利を引き上げると、ロシア国内の経済活動は抑制され企業も市民もお金を借りづらくなる。通貨安に加えて金利が上昇し、ロシア国民の生活はいよいよ苦しくなる、というのが正解だ。授業の締めくくりには、各自で考えるようにと、こんな質問を投げ掛けて終了した。
 「この戦争は誰が止められるのでしょうか?」
(「教育新聞」2022年3月30日号掲載記事参考)
<編集後記>
 新学習指導要領で新設された「公共」は記事にあるような「皆で考え、議論して問題解決をしていく」アクティブラーニングによる学びを目的としています。教わったことを覚えてテストで解答するという受け身な学びではなく、主体的に学び、課題を見つけ解決する力をつけることで、社会で生きていける力をつけていくことを目指しています。成人年齢の引き下げに伴い、より社会生活を意識した学びになっています。