2022.02.16
お金の動きと人の行動を学ぶ学部です。経済学部、経営学部、商学部が代表的な「経済系学部」となり、経済学部は世界や国内の経済全体を学び、経営学部は企業の経営、マネジメントなどを学び、商学部ではマーケティングなど、より最終消費者に近いところでの研究をします。これら学部は3つに分かれている大学(例:専修大学)、経済学部と経営学部が合わさっている大学(例:学習院大学)、経営学部と商学部が合わさっている大学(例:近畿大学)、経済学部と商学部が合わさっている学科(例:駒澤大学)など、様々な形が取られています。
【経済系】
経済活動を大局的な視点から解明し、豊かなものに変えていくための手法を研究する学科です。現代社会が抱える問題を「経済理論」「経済政策」「経済史」の3点からアプローチして問題解決を試みます。国や世界全体の経済の仕組みをテーマとする「マクロ経済学」、企業や消費者の経済活動をテーマとする「ミクロ経済学」、適切な金融政策の研究をテーマとする「金融論」、適切な貿易(関税など)や規制などをテーマにする「国際経済学」など、広く俯瞰的な経済学と言えます。
【経営系】
人や物、金、システムを効率化することなどで経営の質を最大限高めるための方法を研究する学科です。他社との競争に勝つために、「何に、いつ、どのくらいのお金を投資しして何を行うか」「社員の育成をどのように行うか」「社員の力を最大限生かせる人事配置は」「社員のモチベーションを最大限引き出すためにはどうするか」など、大きな視点である経済学に対して、より「人」に近い学問であるため、「人間についての研究」という側面が強い学科と言えます。
【商学系】
商品を売るためのアイディア、マーケティング(広告効果とターゲット選定などの研究)、現場でのサービス、流通、財務管理や証券市場を研究する学科です。より販売の現場(最終消費者のいる場)に近い研究をするため、私たちの日常に最も近い経済学と言えます。経営学と同じく、人の心理や思考、世代別や男女別の志向を知る必要があるため、「人間についての研究」という側面が強い学科です。
行動経済学:心理効果を巧みに利用するデアゴスティーニ
デアゴスティーニのCMを見ると「いいなあ」「欲しいなあ」と思う人も多いのではないでしょうか(特に男の子)。同社は書籍を制作し、販売することで会社を経営しているわけですが、その経営法の根幹は心理学・人間科学に基づく「行動経済学」なのです。同社のビジネスモデルと「欲しくなる理由」を見てみましょう。
① 単純接触効果
人は繰り返し接すると好感度が増すという特徴を持っています。この心理効果を狙い、CMを打ちます。
② アンカー効果
創刊号を半額で売るというのが同社の手法ですが、通常価格を見せてから半額にすることで得した気分にさせることができます。これを「アンカー効果」といいます(人は最初に見た数値に心を縛られます)。
③ 男性をターゲットにする
同社の商品は鉄道(その他乗り物系)、映画、軍事ものなど、男性が好みそうな商品が多いのが特徴です。これは心理的に女性が「買うことで満足感を得る」傾向があることに対し、男性は「集めることで満足感を得る」傾向があることに起因します。収集癖の強い男性をターゲットにするのです。
④ 希少性の原理
創刊号はたくさん売っていますが、号数が進むにつれ冊数が減っていきます。すると「今しか買えないかもしれない」という心理が焦りを生み、「買っておこう」と思わせます。
⑤ 保有効果
たとえば毎号ついている模型を少しずつ組み立てて完成を目指すタイプのものでは、少しずつつくることで「とても価値のあるものだ」と思うようになります。完成させたい欲が強まり、また雑誌についている小ネタなどから知識を得ることで、より楽しみに快楽効果が付加されます。
⑥ 送料無料の定期購読
毎号書店で買っていると、忘れてしまったり、面倒に思ったりします。しかし、一度始めた以上、「コンプリートしたい」と思うので(この時点で心理効果抜群なのですが)、送料無料の定期購読が効果的になります(しかも特典つき)。
⑦ コンコルド効果
途中で少し飽きてきても、これまで投資してきたこと、時間をかけてきたことから「そう簡単にやめられない」という心理が働きます。これは超音速旅客機コンコルドが投資を続けて結局失敗したエピソードから「コンコルド効果(コンコルドの誤り)」と言います。デアゴスティーニ社の商品には「途中でやめられない」心理効果があります。
⑧現状維持バイアス
人は、なかなか現状を変えることができないという特徴があります。これを「現状維持バイアス」と言います。携帯電話のプラン変更を面倒に感じるのもこれです。デアゴスティーニ社のすごいところは、申し込みはネットで簡単にできるのに、解約はわざわざ電話しないとできないようになっています。
⑨ 完成欲(完走欲)
デアゴスティーニ社の凄いところは、シリーズの終了をはじめから示しているところです。「あと〇〇で完成」とわかると、人はその完成の達成感を求めます。最終的にかなりの額になりますが、それを月払いで割って小さく見せるなど(「マグニチュード・エフェクト効果」という)、非常に巧みです。