2023.07.31
「アリとキリギリス」、将来に備えることの大切さを説く「イソップ寓話」のひとつです。
夏期講習真っ盛りの塾では、受験の冬に備えることの大切さをお伝えする例えとして
生徒さんにお話しすることもあります。
どんなお話かというと、
夏の間、アリたちは冬の食糧をたくわえるために働き続け、キリギリスは
バイオリンを弾き、歌を歌って過ごします。やがて寒い冬が来ます。
キリギリスは食べ物を探しますが見つかりません。最後にアリたちに乞い、
食べ物を分けてもらおうとしますが、アリは「夏には歌っていたんだから、
冬には踊ったらどうだい?」と食べ物を分けることを拒みます。
断られたキリギリスはおなかをすかせて死んでしまう、というものです。
のちにこの話は、アリが食べ物を分け与えることを拒否し、
キリギリスが死んでしまうのではあまりに残酷ということで、
アリは食べ物を恵み、それを機にキリギリスは心を入れ替えて働くようになる、
という展開に変えられたようです。
この話には実は3つ目の結末が存在しています。
食べ物を分けてほしいと乞うたキリギリスに対し、「夏には歌っていたんだから
冬には踊ったらどうだい?」とアリが言うところまでは同じです。
最後にこれに対して、キリギリスが一言言い残して終わります。
「歌うべき歌は、歌いつくした。私の亡骸を食べて、生き延びればいい。」
キリギリスのように、自分が夢中になれるものを見つけ、燃え尽きるまで
そこに魂を注ぎ続けることができれば、幸せな死を迎えることができるでしょう。
このお話は「後先考えずに過ごすと後で困るよ」という教訓を私たちに与えています。
同時に「自己責任論」を象徴し、正当化する話しになっていることも確かなのです。