城南コベッツ横浜六浦教室

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2023.07.03

乞巧奠(きこうでん/きっこうでん)とは、陰暦7月7日の行事で、
七夕(たなばた)祭りの原型です。牽牛(けんぎゅう)・織女(しょくじょ)の
二星が天の川を渡って一年に一度の逢瀬(おうせ)を楽しむ、という伝説が
中国から伝わり、日本の棚機(たなばた)姫の信仰と結びつき、
女子が機織(はたおり)などの手芸や裁縫の上達を願う祭りになりました。
さらに書道や音楽などの上達を祈る意味にも転じていったのです。

平安時代には、宮中をはじめ貴族の家でも行われていました。
宮中では清涼殿の庭に机を置き、灯明を立てて供物を供え、
終夜香(こう)をたき、天皇は庭の倚子(いし)に出御(しゅつぎょ)し、
二星会合(牽牛と織女が合うこと)を祈ったといいます。

二星の相会う故事によって、恋愛の成就を祈る風も生まれましたが、
いずれにしても、女性に関係の深い行事といえるでしょう。また、この夜、
後宮(こうきゅう)や貴紳の邸宅では管弦の遊びもなされたようです。

※清涼殿=平安京の内裏(だいり)のうち、天皇の日常の居所
※牽牛(けんぎゅう)星、彦星(ひこぼし)=わし座のアルファ星アルタイル
※織女(しょくじょ)星、織姫(おりひめ)=こと座のアルファ星ベガ

※参考文献:平安朝の生活と文学(池田亀鑑:著)ちくま学芸文庫
※2021年7月に書いた記事のリライトです