城南コベッツ横浜六浦教室

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横浜六浦教室のメッセージ

すさまじきもの~「枕草子」第二十五段から

2021.01.27

すさまじきもの
晝(昼)ほゆる犬、春の網代(あじろ)。
三四月の紅梅の衣。
牛死にたる牛飼。
ちご亡くなりたる産屋(うぶや)。
火起こさぬ炭櫃(すびつ)地下爐(炉)。
博士(はかせ)のうち続き女子生ませたる。
方たがへにいきたるに、あるじせぬ所。
まいて節分などはいとすさまじ。
(以下略)

【現代語訳】
興ざめしてしまうもの。(※すさまじきもの=興ざめするもの、中身のないもの)
昼に吠える犬。(番犬として夜に吠えるべきものです)
春まで残っている網代。(※網代=魚を獲るための仕掛けで晩秋から冬に使われました)
三、四月(=今の四、五月)紅梅がさねの着物。(紅梅の着物は初春に着るものでした)
牛が死んでしまった牛飼い。
赤ん坊が亡くなってしまった産室。
火をおこさない火鉢、いろり。(※炭櫃=四角い火鉢、地下爐=囲炉裏)
学者の家に続いて女の子ばかり生まれること。
(※博士=大学寮、陰陽寮の先生、世襲制で男子のみ就任できました)
方違えに行ったのにごちそうをしない家。
(※方違え=陰陽道では災いを避ける為に神のいる方角へ出かけることを忌みました。
その方角へ行くときには方向を変え、一旦他の家に寄ってから目的地に行きました)
まして節分など特別な日は、ほんとうに期待はずれ。
(※節分の方違え=普段の方違え以上にごちそうをする習慣がありました)

枕草子(まくらのそうし)は清少納言が1001年(長保3年)頃に書いた随筆です。
この「すさまじきもの」は、三巻本では第25段、能因本では第22段にあたります。
三巻本(さんかんぼん)とは、「枕草子」の写本の系統の一つです。