横浜六浦教室のメッセージ
赤気~日本最古の天文記録は「オーロラ」
2024.05.13
オーロラの活動と太陽の活動は連動しています。
オーロラの原因となる太陽の活動としては「太陽フレアの発生」、
突発的なコロナ質量放出により放出されたコロナの地球磁気圏への衝突、
高速の太陽風が噴出するコロナホールの生成の3つが挙げられます。
磁気嵐が強いほどオーロラの範囲はより低緯度に拡大し、明るいオーロラが
生じやすくなります。そのため短期的には、予測される磁気嵐の活動度の大小によって、
オーロラの低緯度地域への拡大の程度が予測できることになります。
日本では、見られる機会が非常に少ない現象ではありますが、日本語では古来
「赤気(=せっき)」という名前がついていました。最古の記述は『日本書紀』まで遡り、
『日本書紀』推古二十八年(620年12月30日)のくだりには、「天に赤気があり、
その形は雉(=キジ)の尾に似ていた。長さは一丈(約3.8メートル)あまりであった。」
という記録が残されており、これは日本最古の天文記録として知られています。
日本のような中緯度で見られるオーロラは赤く扇形の構造を示すものであることから、
雉が尾を広げた形に例えたものと推測されます。当時の日本の磁気緯度は現在よりも
10度ほど高かったため、大規模な磁気嵐が起これば日本でオーロラが見えても不思議はなく、
新月で月明かりもない真っ暗な夜空はオーロラ観測にとって好条件であり、
特に扇形オーロラは真夜中前に出現し、際立って明るいものであるため、
空に現れた巨大な扇は人々の印象に残るものだったと思われます。
最も観測しやすかったのは1200年頃とされ、藤原定家の『明月記』では、
1204年2月21日に「北の空から赤気が迫ってきた。その中に白い箇所が5個ほどあり、
筋も見られる。恐ろしいことだ。」と、オーロラのことだと推定される記録が残されています。