城南コベッツ横浜六浦教室

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枕草子第151段「うつくしきもの」~清少納言が感じた可愛らしいもの

2024.06.10

「うつくしきもの」とは「愛らしい」「可愛らしいもの」「愛おしい」という意味で、
清少納言が感じた可愛らしいものが列挙されている章段です。

うつくしきもの 瓜に書きたるちごの顏。雀の子の、ねず鳴きするにをどり来る。
二つ三つばかりなるちごの、いそぎてはひ来る道に、いとちひさき塵のありけるを
目ざとに見つけて、いとをかしげなるおゆびにとらへて、大人などに見せたる、いとうつくし。
頭はあまそぎなるちごの、目に髮のおほへるを、かきはやらで、うちかたぶきて、
物など見たるも、うつくし。
おほきにはあらぬ殿上童(わらは)の、さうぞきたてられてありくもうつくし。
をかしげなるちごの、あからさまにいだきて遊ばしうつくしむほどに、
かいつきて寝たる、いとらうたし。
雛(ひひな)の調度。蓮の浮葉のいとちひさきを、池よりとりあげたる。
葵のいとちひさき。なにもなにも、ちひさきものはみなうつくし。
いみじうしろく肥えたるちごの二つばかりなるが、二藍のうすものなど、衣ながにて、
たすき結ひたるがはひ出でたるも、また、みじかきが袖がちなる着てありくも、みなうつくし。
八つ九つ、十ばかりなどの男兒(をのこご)の、声はをさなげにてふみ読みたる、いとうつくし。
にはとりのひなの、足高に、しろうをかしげに、衣みじかなるさまして、
ひよひよとかしがましう鳴きて、人のしりさきに立ちてありくもをかし。
また親の、ともにつれてたちて走るも、みなうつくし。かりのこ。瑠璃の壺。
 
枕草子(岩波文庫)池田亀鑑校訂より

【現代語訳】

かわいらしいもの。瓜に描いた子どもの顔。雀の子がチュッチュッというと跳ねて来る。
二つか三つの幼児が、急いで這ってくる途中に、ほんの小さなごみがあったのを
めざとく見つけて、ふっくらと小さな指でつまんで、大人などに見せているしぐさ。
おかっぱ頭の子どもが、目に前髪がかかるのをかき上げないで、
ちょっと頭をかしげてものを見たりしているしぐさ。
それほど大きくはない公卿の子息が、美しい衣装を着せられて歩く姿。きれいな赤ん坊が、
ちょっと抱いてあやしてかわいがっているうちに、抱きついて寝てしまったようす。
人形遊びの道具。蓮の浮き葉のとても小さなのを、池の中から取り上げたの。
葵のとても小さいの。小さいものはみんな可愛らしい。
たいそう色白な太った幼児で、二つばかりのが、二藍の薄物の長いのを着て、
袖をタスキに結んで這い出して来たのも、また、丈は短いが袖ばかり目立つのを着て
歩きまわるのも、みな可愛い。八つか九つ、十くらいの少年が、子どもっぽい高い声で
本を読んでいるのも可愛らしい。
にわとりの雛が、足が長くて、白く愛らしく、丈の短い着物を着ているような姿で、
ぴよぴようるさく鳴いて、人の後先に立って歩くのも面白い。
また、親鳥が一緒に連れて走るのもみな、可愛らしい。カルガモの雛。瑠璃の壺。