横浜六浦教室のメッセージ
6月6日は「稽古始めの日」~世阿弥の「風姿花伝」より
2021.06.06
日本では古来より「6歳の6月6日に稽古(けいこ)を始めると上達しやすい」と
言われてきました。いまでも6月6日を「お稽古の日」とする風習は残っており、
各団体によって正式に記念日として定められているものもあります。
楽器や舞踊など伝統芸能の「稽古始め」は6歳の6月6日がよいとされ、
歌舞伎、能、狂言でも「初稽古(はつげいこ)」と呼んで、その日に稽古を
始めるべしとしています。室町時代に能を大成した世阿弥(ぜあみ)の著
『風姿花伝(ふうしかでん)』によりますと、その冒頭に習い事を始めるには
数え七歳(つまり満6歳の年のうち)がもっとも良いと説いています。
「芸能においては、おおよそ七歳を迎えるとき初稽古とするのです。
この頃の稽古は、子どもがやりたいようにやらせるのとよいでしょう。
自然にやり出した中に、生まれ持った美点が見つかるものです。
まずはその子の心のままに、やりたいようにやらせてみること。
こと細かに、これは良い、これは悪いと教えてはいけません。
あまり厳しく注意すると、子どもはやる気を失い、おっくうになって、
能そのものが止まってしまいます。さらに言えば、基本動作以外は
やらせてはいけません。それ以上のことができる場合でも教えるべきでは
ありません。ましてや大舞台の幕開けの能には、立たせてはいけません。
子どもにふさわしい場面で、まずは得意な芸をやらせてみるのが良いでしょう。」
能の文化を広く世間に広めたのは中世の武家社会です。江戸時代になると
歌舞伎にもこうした考えが反映し、さらに「六歳の六月六日...」という
六続きの言い回しが、頻繁に歌舞伎の台詞として言われるようになり、
いつの間にか「6歳6ヶ月の6月6日」という日が習い事始めにふさわしいと
定着するようになったのです。