横浜六浦教室のメッセージ
謝罪風の謝罪~令和の「カノッサの屈辱」
2021.08.06
「最大の愛情表現だった。金メダル獲得は、あこがれだった。
迷惑を掛けているのであれば、ごめんなさい。」(当初のコメント)
「であれば」という表現に悪いことはしていないという本音が表れています。
金メダルを勝ちとった市民の表敬に対し、市長の愛情など不要です。
社会人として、「ごめんなさい」などありえません。社会人の謝罪の言葉は、
「すみません」か「申し訳ございません」の二つしかありません。
「謝罪」は何かしてしまった、または起きてしまった現象に対して自らの
責任を伴う形で行われますが、「謝罪風の謝罪」では行為そのものではなく
「気分を害した可能性のある人」への謝罪にすり替えられます。
形だけの謝罪になっていない謝罪を英語では、Non-apology apology
(=ノンアポロジーアポロジー)、nonpology(=ノンポロジー)と言います。
慌てた市長は、選手が所属する大企業に謝罪に向かいましたが門前払い。
SNS上では、一連の騒動を令和の「カノッサの屈辱」として盛り上がりました。
世界史を学んだからこそ笑えるものであり、知識や教養は人生を楽しむのに
大いに役立つものなのです。
※「カノッサの屈辱」とは、聖職叙任権をめぐってローマ教皇グレゴリウス7世と
対立していたローマ王ハインリヒ4世が、1077年1月25日から3日間に及んで
雪が降る中、イタリアのカノッサ城門にて裸足のまま断食と祈りを続け、
教皇による破門の解除を願い、教皇から赦(ゆる)しを願った事件。
最終的にグレゴリウス7世はハインリヒ4世の破門を解きました。
「カノッサの屈辱」はヨーロッパでは現在でも「強制されて屈服、謝罪すること」
の慣用句として用いられていることが多いのです。
ドイツ語: Gang nach Canossa、
イタリア語: Umiliazione di Canossa