横浜六浦教室のメッセージ
近うて遠きもの、遠くて近きもの~枕草子から
2021.12.30
近うて遠きもの。
宮のまへの祭り。
思はぬはらから、親族(しぞく)の仲。
鞍馬(くらま)のつづらをりといふ道。
十二月(師走/しはす)のつごもりの日、正月(睦月/むつき)のついたちの日のほど。
【現代語訳】
近くて(実は)遠いもの(と言えば)。
宮のべの祭り(正月と十二月の最初の午(=うま)の日に行われた祭り)。
親しく思わない兄弟姉妹、親族の間柄。
鞍馬(現在の京都市にある鞍馬山)のつづらおりという道(幾重にも折り曲がった坂道)。
十二月の大みそかの日と、正月の一日の間。
遠くて近きもの。
極楽。舟の道。人の中。
【現代語訳】
遠くて(実は)近いもの(と言えば)。
極楽。舟の道中(船旅)。人(男女)の仲。
枕草子(まくらのそうし)は清少納言が1001年(長保3年)頃に書いた随筆です。
この「近うて遠きもの、遠くて近きもの」は、三巻本では第166段、第167段に
あたります。三巻本(さんかんぼん)とは、「枕草子」の写本の系統の一つです。
参考図書:枕草子(岩波文庫、池田亀鑑校訂)