横浜六浦教室のメッセージ
覚えておきたい慣用句(33)~寅年編(初級)
2022.01.02
2022年は十干十二支(=じっかんじゅうにし)で壬寅(=みずのえとら)、
十二支で3番目の「寅(=とら)年」です。古代中国で成立した十二支は
もともと動物とは関係なく、方位や季節ごとに農作物の生長を表現する漢字
(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)が定められました。
動物名(鼠・牛・虎・兎・龍・蛇・馬・羊・猿・鶏・犬・猪)は、
庶民に親しみやすいように後からあてられて成立したのです。
「とら」は「虎」とも書きますが、これは動物の「タイガー(=tiger)」を
指しています。虎はライオンと並ぶ力強い動物ですが、
東洋では「強さ」「権威」の象徴と考えられてきました。
このため虎が登場する慣用句や諺がたくさん生まれたのです。
ここでは「虎」を使った慣用句やことわざを3回に分けてご紹介します。
①「虎穴に入らずんば虎児を得ず」
意味:虎が住むほら穴に入らなければ、その中にいる虎の子を捕獲することが
できないことから、あえて身の危険を冒さなければ、大きな成果を挙げることは
できないというたとえ。
由来:「虎の子」は、虎がその子を非常に大事に守り育てるところから、
大切にして手離さないもの、秘蔵する金品などをいいます。
この「虎子」はめざましい功名や手柄の比喩です。「後漢書/班超伝」
※原文では「虎子」ですが、現在の日本語では「虎児」の形で使うのが一般的です。
②「虎に翼」(=「虎に羽」「虎に角」ともいう)
意味:ただでさえ強い者に、さらに何かほかの威力を加えること。
もとから勢いのあるものに、より力を加えていっそう勢いづかせること。
由来:「虎の為に翼をつくることなかれ」。「韓非子/難勢」
類語:鬼に金棒、弁慶に薙刀(=なぎなた)、火に油を注ぐ
③「虎の威を借る狐」
意味:権勢を持つ者に頼って、威張る小者のこと
由来:虎が狐を食おうとしたときに、狐が「私は天帝から百獣の王に任命された。
私を食べたら天帝の意にそむくことになるだろう。嘘だと思うなら、私について来い」
と虎に言いました。そこで虎が狐の後についていくと、獣たちはみな逃げ出します。
虎は自分を恐れていたことに気づかず、狐を見て逃げ出したと思い込んだのです。
「戦国策/楚策」