赤羽南教室のメッセージ
語彙力が無いまま、中学生・高校生になった生徒の現実
2024.05.04
こんにちは。
城南コベッツ赤羽南教室です。
先日は「まずは語彙力を鍛えましょう」という内容をお伝えしました。
前回は年中、年長さんや小学校低学年までの子どもたちの語彙力に焦点を当ててお話しましたが、今日はその先の中高生の語彙力についてお話します。
何を隠そう、城南コベッツ赤羽南教室の生徒はもともと中高生が募集対象です。現在では「中高一貫校にお通いの中学生」と「高校生」といった限定的な生徒募集をしておりますが、既に中高生を教えて30-35年くらいの教師歴が私自身にもあります。
普通の公立高校の受験対策もしますが、城南コベッツ赤羽南教室が他教室と異なるのは、「大学受験指導」に強い点です。私は現役予備校講師として、高校生や高卒生に数学の授業をしております。大学の入試問題の作成・校閲もしていますので、「問題作成者、採点者の視点に立った指導」も行えます。
この観点から今の中高生の語彙力の不足が招いている事態を、深刻に受け止めており、こうなる前に何とかできないものかと考えて、城南コベッツに「ことばの学校」を併設したという経緯があります。
本題から逸れてしまいましたが、要するに中高生を偏差値問わずたくさん指導している、ということが言いたいのです。そして中高生を指導していると、常々思うことですが、塾に来て学力を伸ばす以前に取り組むべき課題がある生徒がいつの時代もとても多いのですね。
そのひとつが、今回のテーマである「語彙力」です。
例えば、高校入試の対策で塾に来て「勉強しているのに、成績が伸びない」という悩みを相談されるケースがあります。そういう生徒は、勉強するかしないかということ以前に、「語彙力が不足」していることがあります。公立に通っている生徒に限らず、私立の中高一貫校に通っている子でもそういう子は非常に多いです。むしろ中学受験塾に通って、無理やり過去問対策だけやり込んでなんとか合格したという生徒の方が悩ましい事態に陥っていたりしますね。
では具体的に、どんな生徒が「語彙力」の無い生徒なんでしょうか?
前回と同様、「語彙力がある」ということは、「言い換え」ができることと定義します。
まずは中学生から。
I have a dinner.
という英語を見た生徒が「え?夕飯を持っている?」と言いました。have は「持つ」の他に「(食事を)とる」という意味があることが分かっていればこういった誤りは起こりませんが、問題はそもそもこの生徒がhave の意味を覚える時に、「持つ」という和訳の意味を頭の中に思い描きながらインプットしなかったことにあります。
英単語を覚える時は、英語と日本語が一対一で対応しませんよね。一つの英単語に対して複数の日本語訳があり、それらの日本語からその一語がもつ意味をイメージして覚えます。
つまりhave であれば「もつ」は「持っている」かもしれませんし、「所持している」「備わっている」といった抽象的な感じかもしれませんし、「(時間が)ある、(時間を)もっている」や「食べる、飲む」といった具体的なイメージも一緒に覚える必要があるかもしれません。
まとめると、have =もつではなく、「もつ」から色んな「言い換え」ができる形で語彙を覚えておかなければならないということです。これは日本語でも英語でも、そうなのですね。
現在、当教室で教えている生徒の中でも、英単語の覚えるのが速い子と、遅い子がいます。
速い子はやっぱり「言い換え」ができる形で覚えている。覚えたい英単語の和訳を、色んな日本語で頭の中で言い換えて、その単語のイメージを作ってしまう。そうすれば、覚えやすいし、間違えにくいし、忘れにくい。あとは、他の単語を覚える時にも、関連付けて覚えていける。
覚えるのが遅い子、苦手な子、忘れやすい子はどうしているか?
rational 「理性的な」
とあれば、「rational は、理性的な」で覚えようとする。「理性的な」という日本語の意味もわかっていないのに、そのまま一対一で対応させて覚えようとする、、、そりゃ大変だよね。
ただ本当に大変なのは、実はここからです。
こういう子に「言い換えをして、日本語でイメージを作って覚えていくんだよ」と言ってもどうすればいいのかがわからない。だって母国語の日本語でもそういうことはしてこなかったから、急にやろうと思ってもできないか、すごく苦労しながらやることになる。
これでは元から「言い換えができる子」とは差ができる一方です。
さらに酷なことには、「言い換え」ができないと、全教科で、悲惨なことになります。
数学の例を上げてみましょう。
私は数学の予備校講師です。生徒に数学を教える時、よく「日本語から数学語に直してごらん」ということを言います。それができると、東大の問題でも解けてしまいます。
(画像をクリックすと大きく表示できます)
この問題は与えられた3次関数を下記のように言い換えられるか、ということを問われている問題です。
と言い換えができれば、あとは2次関数の基本的な解の配置の問題です。
高1の2学期には解けるレベルの問題になってしまうのです。
小中学生のうちは、「語彙の言い換え」ができるかを問われていたのが、だんだん少しずつ「文章の言い換え」になっていくというわけです。
国語教科はどうでしょう?
現代文の講師をしている知人がこんな話をしてくれました。
「最近、入試問題が受験生に読解力を問うことを諦め始めている気がする、、、。」
読解力を問う問題より、語彙そのものの意味を知っていればそれで正解になるといった問題の傾向が増しているそうです。入試問題で読解力を問う問題を出題しても、あまりに受験生が解けないということが現実に起きているのでしょう。実際、授業の現場に立っていると、そういう変化を感じるそうです。
生徒に授業中、「物価がコウトウしているよね」という話題を出したそうです。
「コウトウ」は当然、「高騰」です。しかし生徒の反応が急に悪くなったのでおかしいなと思ったところ、後で生徒から「コウトウ」って何ですか?と聞かれたそうです。「高騰」の意味を伝えると、「初めからそう説明してください」と言われたそうです。その生徒だけ「高騰」の意味がわからなかったのではなく、その場にいるもっと多くの何十人という生徒が、一般家庭に育ちながら「高騰」という語彙をスルーして生きているのです。
彼は心底呆れた様子でした。
仮にも大学入試をしようという生徒が何を言っているんだ!と憤っていました。怒りを覚えるのもごもっともです。彼は、説明しているのに生徒の語彙力が低くて、説明が理解できていないということも言っていました。生徒の理解力に合わせて話をするにしても、最低ラインというものがあります。説明のための語句の解説をしていたら、受かるものも受からないという話です。ましてや、文系ですからね、、、。
これが今の大学受験の実態です。
語彙力がかなり低い生徒でも、大学受験をするような時代になったのです。
語彙力の無い子は、漢字を覚えるときも一対一で覚えています。
日本語の言い換えによって、漢字がもつ意味のイメージを膨らますことができていません。
すると社会ではこうなります。
大化の改新
「大化」は日本で始めて使われた元号です。「改新」という字を見れば、この時大きく時代が転換したんだろうということがおよそ予測できるものです。だけど語彙力が無いと、言い換えによって漢字のイメージが膨らんでいないから、そういう推測や類推ということが、頭の中で自然に起こらない。そりゃ暗記が人より苦痛に感じられるわけですよ。こういう状態で高3になった子には、もう掛ける言葉がないですね、、、。もう今となってはしょうがないから、気合いで頑張るしかないね、とならざるを得ないのです。
以上が、語彙力の無い中高生の現実です。想像以上に恐ろしいと思いませんか。
やっぱり語彙力は、全科目の土台であり、コミュニケーションにも欠かせないものです。
大学入試を考えているなら、まずは語彙力を育てることからやってほしいと思います。それ以外のことは、後からどうにでもなります。語彙力がないと、教師の説明もわかった気になって聞くだけになるし、教科書や参考書も読んでも解いても頭に残らない、、、。
語彙力に課題があったり不安な方は、せめて受験勉強を開始する一年前に来ていただきたい...!
高校生なら、高1から遅くとも高2の春くらいまでに。中学生なら、中1から中2の夏休み前くらいまでなら何とかします。本当に早く動けるなら、早めに動いてほしいと思います。受験勉強をしながら、語彙の強化も並行して行うのはさすがに厳しいですが、その前に一年間あれば責任持って何とかします。
しかし語彙力を鍛えるのは、早ければ早いほうが良いです。
後で「●年前に戻りたい。語彙力を鍛えておきたかった」と後悔しないためにも、是非多くの方に当教室で語彙力を磨いてほしいと思います。
城南コベッツ赤羽南教室で開講している「ことばの学校」では、読書を楽しみながら語彙力を鍛えることができます。本をたくさん読むことで、語彙力だけでなく情緒や想像力といった人間性も豊かにすることができるので、小学校低学年までのお子様には特におすすめです。
城南コベッツ赤羽南教室で、お子様の未来のためにも、是非「語彙力」を磨きませんか?
皆様のお問い合わせをお待ちしております。
城南コベッツ赤羽南教室
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