国語に関する世論調査
先日、文化庁から令和5年度「国語に関する世論調査」の結果が公表されました。
この調査は、2024年3月に全国16歳以上の個人6,000人(有効回収数3,559人)を対象に行われ、国民の国語に関する興味・関心を喚起することを目的としています。
主な調査項目は次の通りで、項目ごとに結果が紹介されています。
(1)国語への関心 (2)ローマ字表記・外来語の表記 (3)読書の在り方 (4)慣用句等の意味・言い方
「読書の在り方」に関する調査では、1か月に本を1冊も読まないと回答した人が過去最高の6割超となり、デジタル化に伴う読書離れの進行も浮き彫りになったことなどが示されています。
国語への関心
「国語とコミュニケーションに関する意識」の調査では、全体の8割が「国語に関心がある」と回答しています。
年齢別にみてみると、60代は84.1%が関心があると回答したのに対し、高校生から大学生の年代である16~19歳では、67.5%となっています。つまり、3割以上が「関心がない」という回答でした。
また、「外国から来た人などに道を聞かれたとしたら、それに答えようとするか?」という質問については、89%が「なるべく答えようとする」を選択しました。これについては、16~19歳でも94%という結果でした。さらに、「どのように答えようとすると思うか」という質問では、8割以上が「身振り手振りを交えて答える」を選択しました。その次に多かったのが、「スマートフォンなどの翻訳ツールを使う」(46.3%)という回答でした。この結果から、「言葉が伝わらなくても何とか役に立ちたい」という意思が感じられ、日本人の優しさを垣間見た気がします。
言葉遣いに対する印象
通常の会話でもよく耳にするようになった「がっつり」「まったり」「さくっと」などに関する調査結果も取り上げられています。
これらの7つの言葉は、擬態語に分類され、新しい意味や使い方が辞書に記載されてきたものとして取り上げられています。
この調査から、「ときめきを感じる」という意味の「きゅんきゅん」、「曖昧ではっきりしない」様子を表す「ふわっと」したなどの新しい表現が日常に浸透している状況が分かりました。
年齢別にみてみると、ご想像通り、どの言葉でも、60 代以上では、「使うことがある」を選択した人の割合が、ほかの年齢層より低い傾向にありました。
出典:
文化庁_令和5年度「国語に関する世論調査」の結果の概要
慣用句等の理解
普段、何気なく使っている言葉で、「区切る位置」を間違っているために、「読み方」も本来とは異なる言葉になっていることがあります。
例えば、次のような慣用句です。
(1)間髪を入れず 【正答率 6.5%】 ✕ 間髪を入れず(かんぱつをいれず) ◯ 間、髪を入れず(かん、はつをいれず)(2)綺羅星のごとく 【正答率 9.2%】 ✕ 綺羅星のごとく(きらぼしのごとく) ◯ 綺羅、星のごとく(きら、ほしのごとく)(3)好事魔多し 【正答率 30.6%】 ✕ 好事魔、多し(こうじま、おおし) ◯ 好事、魔、多し(こうじ、ま、おおし)
また、本来とは異なる意味で使われている言葉として次のような言葉があります。
(1)悲喜こもごも 【正答率 43.4%】 ✕ 悲しむ人と喜ぶ人が様々にいること ◯ 悲しみと喜びを次々に味わうこと(2)悪運が強い 【正答率 24.3%】 ✕ 悪い状況になっても、うまく助かる様子 ◯ 悪い行いをしたのに、報いを受けずにいる様子(3)煮え湯を飲まされる 【正答率 68.5%】 ✕ 敵からひどい目に遭わされる ◯ 信頼していた者から裏切られる(4)うがった見方をする 【正答率 32.7%】 ✕ 疑って掛かるような見方をする ◯ 物事の本質を捉えた見方をする (5)失笑する 【正答率 26.4%】 ✕ 笑いも出ないくらいあきれる ◯ こらえ切れず吹き出して笑う
「煮え湯を飲まされる」については、本来の意味が浸透しているようですが、他の語句は、本来とは異なる意味で使われることが多いようです。
出典:
文化庁_令和5年度「国語に関する世論調査」の結果の概要 「言葉は生き物」 と言われ、誤用であったとしても多くの人が使ううちに認知されていくことはあるでしょう。しかし、その反面、言葉は心の表れで
「言葉遣いは心遣い」 とも言われます。普段、私たちが無意識に使っている言葉が本来の意味で使われているかどうかを意識してみることも大事です。
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参考:
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