綾瀬中央教室のメッセージ
2023神奈川県高校入試出題内容と今後の対策【数学】
2023.08.26
2023年2月に行われた神奈川県公立高校入試の数学の問題の出題内容と今後の対策をご紹介します。
■概要
大問は問1~問6まであります。詳細は以下のようになります。
問1:計算問題
問2:計算問題・小問集合
問3:証明・資料の整理・文章題・図形
問4:関数
問5:確率
問6:空間図形
全体的な構成は例年通りです。マークシート形式ではありますが、選択問題ばかりでなく、自分で求めた数値をマークする形式の問題もあり、その分配点も高くなっています。
ではそれぞれ小問ごとに見ていきます。
■問1 計算問題
計算が5問出題されており、ここ数年この形式で、すべて計算問題になっています。
正負の数の計算、分数の計算、文字式の計算(2問)、平方根の計算となっており、中1~中3までの計算問題が出題されています。1問3点で5問出題され、全問正解で15点となります。決して難問ではないので、全問正解したいところですが、ここで注意点があります。
いくつかの問題で符号のミスをしやすい問題が出題されていますが、ある程度想定されたミスをすると考えられる選択肢があるため、焦っている中なので、気づかずにそれを選んでしまうことがあります。
数年前はここは自分で計算をしてそのまま答えを書く問題でしたが、選択問題になったことで、かえってここを数問落としてしまう生徒がふえています。こういったことも踏まえて入試に臨む必要があります。
■問2 計算問題・小問集合
ここにも計算問題が出題され、因数分解と2次方程式が1問ずつ出題されます。ここの計算問題は1問4点ですので、問1からの計算問題をすべて正解すれば23点です。
あと3問小問が出題されますが、ここに出題されるのは、関数に関する問題と文章題、その他の問題です。今年は変化の割合、数に関する文章題、数に関する小問となっていました。
ここでの注目ポイントは「関数に関する問題」はほぼ毎年、2次関数の変化の割合に関する問題です。4年か5年に1度程度、ここか2次関数の変域の問題になることがありますが、基本的にはこの2種類の問題のどちらかが毎年出題されていますので、この問題は必ずできるようにしておく必要があります。
文章題は中1範囲の文章題(1次方程式)が出題されることが多いです。
最後の小問は式の値の問題がここ数年多かったですが、今年はちがいました。ただ今年出題された、「3780/nが自然数の平方となるような最も小さい自然数nをもとめる」問題は神川県の入試では頻出です。
問2は1問4点で5問出題され20点ですが、計算以外にも頻出問題があるため、問2までを全問正解して35点を取るというのは、決してハードルの高いことではありません。しっかり練習していくことが大切です。
■問3:証明・資料の整理・文章題・図形
今年はアが証明問題、イが中2の箱ひげ図の問題、ウが速さに関する文章題、エが平面図形の問題でした。
アの証明問題は穴埋めになっており比較的正解しやすくなっています。なお、アには角度問題も出題されています。実際に角度を求めて、求めた数値をマークする形式です。この形式の問題がここ数年出題されていますので、しっかり対策をして少なくとも、証明の穴埋め問題を正解したいところです。
イは箱ひげ図です。学習指導要領が変わったことで出題されるようになったものです。箱ひげ図に必要な知識として「中央値」というものがありますが、これを始めて学習するのは小6です。中1でも扱い、中2でも学習するというようになり、ある意味数学では大切な単元になっているといえるかと思いますが、問題自体は決して難問ではありません。「中央値」「四分位範囲」「第1四分位数」「第3四分位数」という直接箱ひげ図に関連する用語はもちろん、「平均」「最頻値」などの用語もしっかりと抑えておく必要があります。箱ひげ図が出題されずとも、最頻値、中央値などの「資料の整理」に関する問題は神奈川では頻出ですので、これを踏まえたうえで学習を進めましょう。
ウはやや新しい傾向と言っていいかもしれません。速さに関する文章題ですが、一見すると単純な問題に見えて実は方程式の文章題となっています。方程式の文章題は出題されないこともある範囲になっていますが、比較的速さの文章題は神奈川県では出題されることがあるので注意が必要です。6割以上を得点したい場合は、広く文章題を練習する必要があります。
さて、エです。最近の入試では、問3の最後の図形問題が正解率が非常に低く、年によってはここが、その年の一番の難問になることがあります。ですので、最高でも8割狙いという人でさえ、解かないことになる問題なので、戦略としては後回しにするべき問題となると思います。
今年の正解率は8.0%なので、例年よりやや易しめの問題でした。面積比を求める問題で、比較的定番の知識で解けるものにはなっているものの、使いこなすにはしっかり練習が求められるので、まずは、問題集などにのっている比を求める問題の練習を一通りするとよいと思います。
■問4 関数大問
平成のころから出題形式が固定化されている箇所です。ここのアとイを正解できるかは非常に重要なポイントです。
ア:2次関数y=ax^2の比例定数aを求める問題です。基本的には放物線上を通る1点の座標を求めることになります。
年によっては比を使って座標を求めることもありますが、今年の問題は、別の直線の式に代入して座標を求めるだけでしたので、解きやすい問題でした。
イ:2点を通る直線の式を求める問題です。順番に座標を求めて直線の式を求めますが、最近は途中の計算に分数計算を必要とするため、間違えてしまう生徒さんが増えています。ですが、この問題は基本的に毎年出題されるため、手順を覚えるまでたくさんの問題を解くことで本番でも正解できるようになります。
県入試用の問題集には関数の問題が多く収録されていますので、それを1回解くだけでなく、できるまで何度も解くというようにすれば、必ず得点できるようになります。
ウ:問3のエ同様、正答率が低くなる問題です。6割を狙う、というのであればここは解かずに、次の確率の問題に時間を使う、というのが正しい戦略ではあります。
上位校を受験する場合は、ここは取りにいきたい問題にはなります。関数で必要となる有名なテクニックがありますので、それを練習しておけば、見たことのある問題、というように対応できることが多いです。これまでに出題されたのは、面積2等分や、面積を特定の比に分ける分ける点の座標、面積比などで、面積関連の問題が出題されることが多いです。関数だけでなく、図形の知識も必要となるので、問3のエなどの対策とも関連します。
■問5 確率
神奈川の確率の問題は、基本的には2つのサイコロに関する問題です。一時は袋に入れたカードを取り出す問題になったことがありましたが、近年は2つのサイコロの問題に戻っています。
そして、この点が重要なのですが、2つのサイコロの問題が出題されるということは、最大36通りなので、基本的にはすべてのパターンを調べれば得点できるということになります。計算をしてもとめるということでなく、根気よく調べる、という作業を求められます。とはいえここは2問出題されますが、36×2=72通りを、すべて同様に調べているとさすがに時間が足りません。問題を読みながらパターンをつかみ、調べるスピードが上げることで全て調べます。問題によってはこのパターンはない、というようなことがわかることもあるので、そういったことをしながら、およそ8分で2問を解くことになります。1問5点ですので、ここで2問正解すれば10点です。途中でも書きましたが、問3のエや問4のウなどに時間を使わず、ここで確実に10点を取りに行く方が合格に近づけることが多いです。この点を把握して過去問や模試で練習する必要があります。
1点注意なのは、問題文が長いため、しっかり練習しないと時間内に解くことができません。中には問題文の意味を把握できないということも少なくないため、確率の問題文になれる必要があります。1時間確率の問題をたくさん解く、というのを3回程度すると慣れてくる印象で、その後は日々1問時間を測って解く、というようにすれば本番で正解できるようになることが多いです。頑張ってみてください。
■問6 空間図形
今年は円錐の問題でしたが、年によっては直方体の問題であったり、図形は様々です。
ア:表面積を求める問題でした。円錐の表面積は、側面積の公式を知っていれば、1分程度で解ける問題です。なお、例年もここは立体の表面積や体積を求める問題が頻出です。図形の公式をしっかりとおさえておけば正解できます。確実に正解したい問題です。
イ:空間内の線分の長さを求める問題です。例年通りで、ここは三平方の定理を使う問題が頻出となっています。6割、7割を狙いに行くのであれば取らなければいけない問題です。
ウ:問3のエ、問4のウと並んで、正解率の低い問題です。今年一番正解率が低いのはこの問題でした。(4.0%)
例年展開図を利用した問題が出題されることが多くなっています。年によって難度は変わりますが、今年は円錐の問題だったため、参考書によっては同様の問題を収録しているものもあると思います。とはいえ、他の難問同様、「あ、これね」と思えるようになるまでに、たくさんの練習が必要で、さらにそれを使いこなすには計算力も問われます。8割以上を狙っていくにはこうした練習が欠かせないということになります。
なお、神奈川の数学全般で何点を取るために、どの問題を狙うべきか、というのを別の記事でまとめてありますので、こちらもぜひ参考にしてください。
神奈川県立高校入試対策【数学】目標点数別対策
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