4月19日の東京外為市場で、ドルが128円台に上昇しました。2002年5月17日以来、
約20年ぶりのドル高/円安水準です。日本当局からの円安牽制発言が相次いでいるものの、
日米金利差拡大が意識され、ドル買い/円売りが一段と加速しています。
為替(=かわせ)については、中学3年生の公民で少しだけ学習します。
「1ドル=○○円」などで表す円相場についてもう少し勉強してみましょう。
海外と取引するには海外の通貨(=米ドル、ユーロ、英ポンドなど)が必要です。
このため、世界の通貨を売り買いする外国為替市場があり、主に電話やインターネットで
取引されており。ロンドン、ニューヨーク、東京が3大市場と呼ばれています。
為替相場は二つの通貨(例えば円とドル)の力関係で決まり、世界中で取引が行われているため
時々刻々と変化します。円を他の通貨と交換するときの比率を「円相場」といい、
国際間でもっとも広く使われているアメリカの「ドル」との「対ドル円相場」が代表的です。
何かの理由で円を買いたい人が多ければ「円高」に、売りたい人が多ければ「円安」になります。
たとえば「1ドル=100円」から「1ドル=125円」に変わったとします。1ドルを手に入れるのに
100円ではなく125円が必要になったので「円安」(=円の価値が下がった)ということになります。
逆に「1ドル=100円」から「1ドル=80円」になれば、これは「円高」です。
なお、戦後最高の円高は2011年10月の1ドル=75円台でした。
この数年は1ドル105~115円前後で推移してきましたが、今年3月になって急落しました。
この円安の最大の要因は、米国の中央銀行にあたる連邦準備制度理事会(=FRB)が、
コロナ危機を受け2020年3月に始めた「ゼロ金利政策」を止め、金利を上げると決めたことです。
コロナが落ち着いてきて景気が急に良くなる一方、コロナ禍でモノや人の流れが滞って
部品の供給不足や人手不足が続き、米国は約40年ぶりの物価高になっています。
さらにロシアのウクライナ侵攻によるエネルギーや食料の値上がりも加わりました。
これに対し日本銀行は「ゼロ金利」を変えない方針のため、金利が高いドルを買って
金利の低い円を売る動きが加速し、円安ドル高が一気に進んでいるのです。
日本でも、企業間で取引されるモノの価格は記録的な伸びで、消費者が手にする食品や
日用品の値段も上がり始めています。(4月から値上げになったモノの何と多いことか)
今回は、賃金が上がらないまま物価が上がる「悪い円安」との指摘も出ています。
お金は「より安全」で「より金利の高い」所に集まるのです。
円安(=円が売られる)ということは、「円」という通貨に魅力がなくなったとも言えるのです。