2022.11.05
11月8日(火)の夜、皆既月食が起こります。この月食は日本全国で観測することができます。
多くの地域で月の高度がある程度高くなる時間帯に皆既食となり、観測しやすいでしょう。
満月は、18時09分から欠け始め(部分食開始)、19時16分に皆既食開始となります。
皆既となった月は、「赤銅色(=しゃくどういろ)」と呼ばれる、赤黒い色に見えます。
皆既食は86分間(=1時間26分)続いて、20時42分に終わり(皆既食終了)、
その後は徐々に月は地球の影から抜けて、21時49分に部分食が終わります(部分食終了)。
また、今回は月が天王星を隠す「天王星食」もこの皆既月食中に起こります。
天王星は約6等級で、薄い青色に見えます。非常に条件の良い空でも肉眼で見える限界の
明るさですから、双眼鏡や望遠鏡などを使って探してみるとよいでしょう。東京では、
天王星の潜入開始(食の開始)は20時41分、出現開始(食の終了)は21時22分です。
皆既月食中に惑星食が起きるのは極めて珍しく、日本本土で見られるものとしては
1580年7月26日の土星食以来約442年ぶり、次回の惑星食は322年後、
2344年7月26日の土星食となります。
清少納言の「枕草子」には、「月は」「星は」の段があります。
第253段「月は、有明の東の山ぎはに、細くて出づるほど、いとあはれなり。」
現代語訳:月は、有明の月が東の山ぎわに細い形で出てる時が、すごくしんみりといい感じ。
※有明の月は、おおむね旧暦二十六日以降、夜明け(有明)の空に昇るものをいう。
第254段「星は、すばる。彦星(=ひこぼし)。夕づつ。よばひ星、すこしをかし。
尾だになからましかば、まいて。」
現代語訳:星といえば、すばる。そして、彦星(アルタイル)。宵の明星(=金星)。
流れ星もそれなりに趣きがあって美しい。でも尾(しっぽ)がなければもっといいのに。
※すばるは、おうし座にあるプレアデス星団のこと。
参考文献:「枕草子」池田亀鑑校訂 岩波文庫