神戸深江教室のメッセージ
小中連携教育
2024.04.20
教科担任制
2022年度から、公立小学校の5年生・6年生を対象に、「英語」「理科」「算数」「体育」で「教科担任制」が導入されています。「教科担任制」とは、小学校高学年から一部の教科について、その教科を専門とする教員が授業を受け持つ制度です。
学級担任がほぼ全教科を教える「学級担任制」から、教科ごとに専門性の高い教員が指導する「教科担任制」へシフトしましたが、この度、文部科学省の中央教育審議会が、この制度を小学校3年生・4年生にも拡大する案をまとめたことが発表されました。
出典:読売新聞_2024.04.17
「教科担任制」を小学校中学年にも拡大することで、教員の負担を減らすだけでなく、教員の専門性を生かした、より質の高い授業を行うことができます。
また、クラスの枠を越えて、授業の進度や担任の指導力が統一されることで、一定の教育水準を確保することができます。
その一方で、担任の先生とコミュニケーションを取る時間が減り、児童の実態を把握しにくくなることや他クラスとの時間割の調整、さらに教員数の増員が必要になってくることなどの課題も見えてきます。
兵庫県では、すでに「兵庫型教科担任制」として2018年度から、469校で教科担任制が実施されています。
さらに、2022年度からは、担任間で授業交換を行う 「兵庫型学習システム」(教科担任制、少人数授業、35 人学級編制の推進) として進化しています。
参考:兵庫県教育委員会_兵庫型教科担任制について
出典:兵庫県教育委員会_すべての子ども達の可能性を引き出す「兵庫型学習システム」の推進_抜粋
「兵庫型学習システム」では、学級担任を含めた8人の先生が1クラスを担当します。定期的に教員同士で生徒の情報交換を行い、児童の変化を見逃さない体制を作っています。
参考:丹波市立崇広小学校_小学校高学年における教科担任制の推進出典:兵庫県教育委員会_「兵庫型教科担任制」時間割例(H24.1)
中1ギャップ
「中1ギャップ」とは、小学校を卒業して中学校へ進学した際、これまでの小学校生活とは異なる新しい環境や生活スタイルなどになじめず、授業についていけなくなったり、不登校やいじめが起こったりする現象のことを言います。出典:新興出版社
この問題の原因は、「勉強の難易度アップ」「新たな友人関係のストレス」などがありますが、小学校から「教科担任制」や「乗り入れ指導」を導入することで、中学校への円滑な接続が実現できます。
「乗り入れ指導」とは、小学校から中学校に移行する段階の学年区分において、主に、中学校教員が小学校で指導を行うことを言います。
小学生の高学年から、中学校の先生と接することで、中学校進学後も大きなギャップを感じることなく、「中1ギャップの解消」につながるものとして効果が高いと指摘されています。
出典:文部科学省_小中連携、一貫教育の推進について出典:兵庫県教育委員会_小学校における新たな指導システム「兵庫型教科担任制」
小中学校の連携を深めることで、指導観・学力観の違いを乗り越える工夫がなされています。
小学校700語問題
2020年度から新学習指導要領が実施され、小学3年生から英語が必修化されました。さらに、小学5年生・小学6年生では英語が正式な教科になり、小学生で習得すべき英単語数は、600~700語と言われています。
出典:ベネッセ教育情報
小学校から高校3年までの教育課程において、取り扱われる英語の語い数は最大で約5,000語となり、親世代のほぼ倍の数字!となっています。
雑誌「AERA」の記事によると、「小学校700語問題」とは、中学校の現場において小学校で習っているはず(『習った』とされる?)の英単語が身についておらず、中学校の学習に支障が出てしまうことだそうです。
出典:AERA dot.
中学校で習う英単語は激増し、それに加えて小学校で『習った』とされる約700語が加わります。そのため、小学校で定着しないまま中学校に進学する子どもたちが多いと問題提起がなされています。
英単語だけでなく漢字に対しても同様のことが言えます。
今後、さらに小中連携を推進し、義務教育9年間を見通した指導体制の在り方が議論されることと思います。