中3生はいよいよ志望校が固まってきていますでしょうか。それによって当然目標点が変わってくると思いますが、神奈川県の入試では多くの場合、数学と国語の点数がカギとなります。
国語は他教科に比べて難易度が安定しており、毎年の平均点(合格者平均)は60点~70点となっています。5年に1度程度難易度が上がることもありますが、およそ国語でまずこの平均をしっかり確保したいところです。
そして、数学ですが、こちらは全体の難易度こそ変動はしますが、およそ50~60点分は毎年ほぼ同様の問題が出題されるので、まずはこの点を目指して勉強するというのが基本的な考え方です。
この国語と数学を最低限100点~120点取ることを目指して、他の教科で目標点を決めるというのが多くのケースです。
そこで今回は数学で、50点取るためにすべきこと、さらに、50点~80点のためのすべきこと、そして80点以上を取るためにすべきこと、をそれぞれご紹介してまいります。皆さんの目標点や受験校に合わせてご参考にしていただければと思います。
■50点を目標とする場合
すでに述べたように、神奈川県の数学の問題は約5割~6割程度、毎年同様の問題が出題されており、50点を目標とするのであれば、これらを重点的に練習することになります。では、どのような問題が出題されるか見ていきましょう。
●計算問題
毎年、計算問題が出題されますが、問1と問2に分かれることが多く、問1は順番に、
正負の数の計算(整数)、正負の数の計算(分数)、文字式の計算、平方根の計算、式の展開
およそこのようになります。年により問1の出題数が変わったりなどはありますが、出題される計算問題の種類は平成のころよりほぼ変わっていません。
問2は小問集合ですが、はじめの数問が計算問題です。ここで出題されるのが、
連立方程式、2次方程式
です。ここ近年はこのように7問出題され、すべて正解することで23点となります。
はじめに行う対策としては、この計算問題をすべて正解することです。このとき、これを1つでも落とさないようにという意識で普段の練習をすることが大切です。出題される問題がほぼわかっているので、これらを徹底的に練習します。問題自体の難易度は決して高くないため、毎日練習すれば多くの場合ここでの全問正解を実現することは可能です。県入試用の対策問題集を用いて計算問題の章を5周程度行えば、数学が苦手な生徒でも解けるようになるケースは多いです。
●小問対策
まず、神奈川県の数学の小問で非常に出題頻度の高い問題があります。それが、
・2次関数の変化の割合の問題
・2次関数の変域の問題
です。特に変化の割合の問題は数年連続で出題されることが多く、この問題が出題されないときに、変域の問題が出題されるということがあります。
あくまでイメージですが、およそ4年に3回変化の割合の問題、残りの1回で変域の問題、という具合です。
次に出題頻度の高い問題が
・平方根の根号を外すための最小の自然数nを求める問題
です。これは他の大問との融合をされることがありますが、比較的よく出題されます。この問題は主に3パターンほどありますので、それらすべてを練習しておきたいところです。
また近年では
・式の値
の問題がよく出題されます。これは基本的には計算問題ということになるので、計算問題とともに練習するのがよいと思います。
これらの小問は問2に出題されます。ここでこれらの小問2問正解できると8点になります。前述した計算問題と合わせると31点になります。
●2次関数の大問
毎年出題されるのが2次関数の大問ですが、ここでは小問が3問出題され、このうち2問は平成のころから同様の問題です。以下の二つです。
・y=ax^2のaを求める問題
・直線の式を求める問題
です。関数ということで、難易度は少し上がりますが、出題されることがほぼ確実な状況ですので、練習をすることで克服ができます。
まず上の比例定数aは基本的には放物線上を通る1点の座標を求めれば、それを代入して求められます。このとき、この座標をを求めるために、少し手間のかかる問題が出題されることがあります。多くのケースが座標平面内で比を使う問題で、この練習をが少し難しいことはありますが、ある程度練習すれば慣れることができます。ですので、この問題の正解率は毎年非常に高いです。
次の直線の式を求める問題ですが、これが少し手がかかります。年によっては分数を処理することになり、必要な情報(基本的にはこの直線を通る2点の座標)を求めるのに時間がかかることがあります(こういったときは本番ではいったん次の問題にとりかかることが大切です)。少なくとも2直線の交点を求めたり、代入等の処理を練習しておくことは欠かせません。
この2問が9点分になります。ここまでで累積すると40点ということになります。
●確率
神奈川県の確率の問題は多くの場合、2つのサイコロに関する問題です。ですので、最大でも36通りということになるので、極端に言えば36通り全て調べれば得点できるということになります。
この時に1つポイントがあります。別の項で後述しますが、基本的にはここはおよそ8分まで時間をかけていいのですが、50点目標の場合であれば、いわゆる難問は解く必要がありませんので、ここで8分よりも多くの時間を取ることができます。解くべき問題、解かない問題をしっかり決めて時間配分を考えることで、およそここでは10分程度までは時間を使えます。
ここで確率は2問出題されますが、できれば2問正解し、10点を取りたいところです。ですが、本番の緊張からか、2問正解はなかなか難しいため、1問正解でも十分です。これで5点獲得でき、ここまでで45点です。
●空間図形
ここでの小問は3問です。このうち比較的難易度が易し目なのが年によって1問ないし2問出題されます。
この時比較的よく出題されるのが、
・立体の体積
です。これは中学1年の学習内容となっており、毎年正解率が高いです。ここで1問正解できれば4点となります。
前述したすべての問題を正解すると49点ということになります(配点が年によって多少異なるため、前後することはあるかもしれません)。このように、50点目標の場合は、どの問題を正解すべきか、ということがすべて決まっているのが神奈川の入試です。ここに取り上げた問題をとにかく集中して練習することで目標点獲得を狙っていくことになります。
これに少し余裕をもって50点を目指すのであれば後述の中難度の問題を一部解くことになります。
すでに前述したように計算問題だけでも50点中およそ半分得点できることになるので、数学で10点台、20点台になるということは少ないです。従いまして、計算はある程度できるというケースの場合は、関数および確率を特にしっかり練習することが目標点到達のカギとなります。
■50点~80点を目標とする場合
上記であげた49点以外に中難度の問題がもう少しあります。50点を必達とする場合~7割を確実にとるという場合に、これらの問題を解けるようにしていく必要があります。
それが以下の問題です。
1. 問2 文章題
2. 問3 証明問題
3. 問3 資料の整理
4. 問5ーイ 確率
5. 問6-イ 図形
これらを含めて、平均して7割を取るためには以下のように点数を取ることが必要となります。
問1 全問 15点
問2 全問 20点
問3 約15点
問4ーア・イ 9点
問5 全問 10点
問6-ア・イ 9点
合計 78点
基本的に8割程度は標準問題が出題される、というのが教育委員会から提示されていることですので、これらを取れるようにしていくというのが基本的なことになります。
追加の中難度の問題について少し細かく見ていきます。
1. 問2文章題
ここ数年よく見かけるもので、中1の1次方程式の文章題が出題されることが多いです。基本的に1次方程式の文章題は、
個数・代金、過不足、速さ
の問題が定番です。まずはこれらをしっかりと練習しておくことが大切です。
なお、以前は文章題が問3に出題されることがありました。本来は定番の問題でしたが、有名な解き方とは違う解き方をさせる問題でしたので、苦戦を強いられた人は多かったようです。
2. 証明問題
近年は穴埋め問題になっており、比較的正解しやすい問題になっています。証明の基本を練習しておけば対応できます。すべてを自分で書けるようにする練習もしておくと本番では取り組みやすいでしょう。
なお、証明問題の続きで角度問題などの小問が一緒に出題されることがあります。基本的には円の問題になりますので、円周角などを利用する問題の練習が必要です。
3. 資料の整理
中1で学習する度数分布表などの問題です。中央値、最頻値などの用語や求め方を確認しておきましょう。
なお、今後は中2で学習する「箱ひげ図」などが出題されるかもしれません。
4. 確率
50点目標の際に述べたものです。7割・8割を取る場合はここの確率は確実に2問正解が必要です。
5. 空間図形
多くの場合、空間内の長さや面積を求める問題です。三平方の定理を使うことになりますが、比較的定番問題が出題されることが多いです。補助線の引き方などをしっかりと練習しましょう。
これらがしっかりと得点できれば7割を超えることができます。最近の数学の問題では7割を超えるのは比較的難しくなっていますが、この場合でも最難関の問題の問題は本番で解く必要はありません。解かなければいけない問題に集中した対策に専念することが大切です。
■80点以上を目標とする場合
これはとにかく広く練習する、ということにつきますが、気を付けなければいけないのは、まずはここまでに書いたおよそ8割の標準問題を確実に正解できるようにすることです。入試というプレッシャーのかかる中、標準問題をそれぞれの決められた時間で、正確に解くかという「得点力」を鍛えることは欠かせません。
そこでまず時間配分を確認しましょう。各大問にかける時間は以下の通りです。
問1・問2 あわせて8分
問3 8分
問4 8分
問5 8分
問6 8分
計 40分(試験時間:50分)
10分残りますので、難問を含む問3、問4、問6にかけることにはなりますが、見直しの時間も必要です。こういった時間配分もしっかり意識して、過去問や模試であらかじめ決めた時間配分に解けるか、ということを練習していきましょう。
得点力という点でもう一つ重要なのは、わからない問題が出てきたときの対応です。比較的早い段階で難問に出会うことがありますが、この時に必要以上に時間を取られると、そのあとの易しい問題を落としてしまい、全体的に大失点につながることがあります。これは絶対に防がなければいけません。わからない問題は●分で一度抜ける、というようにきちんと自分でルールを決めて、問題を解くようにしましょう。
さて、ここで、難問の対策をどうするか考えます。基本的には以下の3問が難問の出題箇所です。
・問3の図形問題
・問4の関数の最後の問題
・問6の空間図形の最後の問題
です。年によっては正解率が2%台となるなど、非常に難しいものになっています。県立最難関高を受験する場合にはこれらも正解できるように対策をしていく必要があります。
ところでこれらの問題は、高校受験数学全体を考えれば、超難問というものが出題されるわけではありません。たしかに公立高校の入試問題(全員が同じテストを受けるという意味で)という観点では難しいものですが、難関私立・国立高校を含めた数学の問題全体でいえば、比較的定番問題であることが多いです。
そのように考えると、実はある程度対策はしやすいものです。それぞれの単元の有名な応用問題を解く練習をしていくことが非常に有効です。公式やテクニックはもちろん、どういったときにどういう補助線を引くのか、というセオリーをしっかりと頭に入れておくと効果的です。慣れてくれば、入試でこれらの問題を見たときに、「あ、これね」となると思います。
ただし、とはいえ定期テストのレベルは十分に超えた内容になることが多いので、自分では対策しづらいものも多いと思います。こうした問題に精通している人に質問をするなども不可欠にはなるでしょう。
注意点としては、これらの問題は、これまでの傾向にはよらないということです。近年の神奈川県の数学では、これまでに出題されたことのないものも出題されていますので、傾向だけに頼らず、幅広く対策が必要です。
いかがでしたでしょうか。今後入試対策をする上で参考になることがあれば幸いです。
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