2021.09.25
「学ぶとは想起すること・・・」
古代ギリシャの哲学者ソクラテス(紀元前470頃〜399)は「学ぶとは想起することに他ならない」と主張しました。
先生から教えてもらうことによってではなく、すでに知っていることを自分の中から再び取り出すことで新たな知識が得られるというのです。
ソクラテスの弟子であるプラトンの著書「メノン」にソクラテスがメノンという青年の家の召使いの子どもに算数を指導する場面があります。
ソクラテスは子どもに「今ある正方形の2倍の面積の正方形を描くにはどうしたらよいか」という問題を出します。
子どもは「面積が2倍なのだから、辺の長さを2倍にすればよい」と答えます。
しかしソクラテスとのやりとりの中で、辺の長さを2倍にすると面積は4倍になってしまうことに気づかされます。
今まで当然と思い込んでいたことが実は間違いであったことを知るのです。
そして正しい答えが分からずに行き詰まります。
ソクラテスは答えを教えることはせずその子どもに対し、解法に気づかせるための質問を投げかけていきます。
子どもはソクラテスの質問に悩みながらもひとつ一つ考えていきます。
そして「今ある正方形の対角線を一辺とする正方形が2倍の面積の正方形となる」ということを理解します。
子どもが正解にたどり着くまでにソクラテスが教えたのは「対角線」という言葉の意味だけでした。
教えることは必要最小限にし、質問と受け答えの対話を通して子どもに正答を導かせました。
先生は生徒にすぐには答えを教えてはいけません。
なぜなら生徒は答えを知った瞬間に考えることをやめてしまうからです。
十分に考えないで得た答えはすぐに忘れてしまいます。
だから学力がつかないし成績も上がりません。
生徒には自ら考えさせ、時には行き詰まらせる必要があります。
先生は生徒が正しい方向に進むように見守り、対話を通してヒントを与えていくようにする。
そしてなるべく生徒自らの力で正解を出させる。
こういった個別指導を行うことで生徒は学力を着実に身につけ、自信を持つようになります。
そして勉強に対するモチベーションを高めていきます。