2022.01.17
トンガは、ニュージーランドの北東約2,400キロ、ポリネシアに位置する人口約10万5千人の
島国です。首都はトンガタプ島に位置するヌクアロファです。
1月15日(土)午後1時頃(日本時間)、トンガ諸島の海底火山が爆発しました。
噴火したのは首都ヌクアロファの北、約65キロにある海底火山
「フンガトンガ・フンガハーパイ」で、今回の噴煙は高度19キロにも達したようです。
この噴火の影響で神奈川県では誤った配信プログラムにより、携帯電話の緊急速報メール
(NTTドコモでのサービス名はエリアメール)が繰り返し配信されました。
気象庁は会見で、「この海面変動がどのようなメカニズムで発生したかということ
についてわからないことが多い」とコメントしているように、今回の潮位変動を津波と
呼んでよいかどうかも不明です。
東北大学の今村文彦教授は「噴火によって『空振』(=くうしん)という気圧が
急激に上がる現象が発生した」とみています。火山の爆発で空気の振動(=衝撃波)が
発生すると空振の進む最前面では圧力が高まり、海面は大気によって押し下げられます。
最前面が通過した後は元に戻る反動で海面が上昇し、潮位変動が起きるというものです。
空振は海中を進む津波に比べて高速なので到達が早く、また後続の波は
長い距離を進む過程で重なり合い、大きくなった可能性があるというのです。
今回の火山噴火は、過去1000年間の地球上で最大級とも推定されていて、
大規模な空振が発生した可能性があります。トンガから約8千キロも離れた
日本で潮位が上がった現象は、通常の津波とは違って予測は極めて難しいことです。
今回は過去のデータがなかったことで、気象庁も対応に苦慮したのではないでしょうか。
少なくとも気象庁が津波観測を始めて以来観測したことのない未知の現象に対して、
既存の津波警報・注意報を用いて注意喚起を行ったことは、一種の英断と考えます。
まだ噴火の全容も明かされておらず、今後の火山活動も不透明なため、
このようなイレギュラーな津波が再び発生することも否定できません。
(2022/1/17記)